生主見聞録

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同義とは

2018.08.16 (Thu)

前書き: 同義を解説する経緯


前回実に面白いやりとりがあったので記事にする。
(なお当記事は本人からの許可を得て執筆しています。)

前とある配信者と話している時に"同義"という言葉についての話になった。
とある配信者の「同義は"同じ意味"」であるという主張に対し私は「それは違う。全く同じ意味ではなく包含関係である。」と述べた。
辞書には確かにある配信者の言う通り「意味が同じであること」「同じ意味」と載っていることが多いがこれは完全に誤解を生みかねない表現方法だ。
恐らく学業等で同義という表現方法を用いてる人からすると私と同じ疑問を持つはずだが分からない人が多いと思うので出来るだけわかりやすく解説したいと思う


1.厳密には"同じ"でない


恐らくこの記事を読んでいる数名の読者には既に違和感を感じている人がいるはずだ。
ある程度学問に精通している者なら、"同義"とは厳密に「同じ意味」として使われていないことを知っているはずだからだ。
例として「同義遺伝子」という単語について調べてみる。
「1つの形質を現すのに2種類以上の異なる遺伝子座にある遺伝子が同等の作用をするもののこと」と書いてある。
この説明通り、"異なる"遺伝子座にある"同等の作用をする"ものを同義というように同じ意味として使うことは無い。
同義という言葉はAという言葉とBという言葉が「同じ性質を持っていて重なった意味がある」という意味なのだ。

学校で習ったかも知れないが同義というものは「=」ではなくそもそも「≒」なのだ。
言語には全く完全に同じ意味の言葉は存在しない。共通的な意味合いが多いか少ないかだけなのだ。( A ∩ B)
つまり辞書で言いたいことは「(この共通項目の部分を指して)同じ意味だから同義」ということだ。
わかり辛いかも知れないので例をあげる。
例として、「技術と技量」「基礎と根底」「初心と未熟」「寂しいと虚しい」
これらは同義語だが、それぞれ近しい部分はあれど完全に意味が重ならないことは恐らく誰にでもわかることだろう。

だが少し不思議なことに辞書の多くには「同じ意味」とだけ記されている。
詳しく調べたらいくつかの辞書には「完全に同じ意味になることは厳密にはないので~」とか私の先程の解説のようなことが書いてあったり、「同じ意義」ときちんと説明しているが多くのネット文献では漠然と「同じ意味」と書かれていた。だがこれは言語学に完全に反する解説だ。
例えば「国家級のサイバー攻撃は「戦争」と同義か」という記事を見つけたがこれは「国家級のサイバー攻撃 = 戦争」だと言っているわけではなく、国家級のサイバー攻撃は戦争と言えるほどのものなのかどうかという性質上の「≒」を示している。
サイバー攻撃だけでは戦争と言えるレベルではなく、"国家級" + サイバー攻撃 ≒ 戦争 と言える。

2.まとめ


よって同義とは「完全に同じ意味を示すもの」ではなく「(ほぼ)同じ意味(性質)を含むもの」である。
何故辞書に単に「同じ意味」とだけ書かれてあるものが有るのかは後述するが、確かに漠然とはあっていてもこれでは誤用するものが間違いなく出てしまうしこの書き方は不適切だと感じる。(前述の例の同義遺伝子という言葉の意味も訳がわからなくなってしまうね。)
「同じ性質のもの」とか「ほぼ同じ意味」って書けば良いのにね…
今回のような問題は辞書の書き手の言いたい内容と読み手の解釈した内容のズレという面白いケースだと感じたので記事にしました。恐らくこれは"同義"という說明の難しい言葉を辞書に易しく書こうとしたが故の簡易表現だったのだと感じます。

3.おまけ


本当はベン図を書こうと思ったのですが、ちょうどその分野を勉強してるリスナーが送ってきてくれたのでその画像を参考にどうぞ。
bandicam 2018-08-16 15-50-29-007

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